今はまだゲイの彼に気持ちを許さない……

とにかくゲイとエッチしたい。
そんなストレートなゲイ願望を、日常生活の中で吐露するわけにはいかない場合もある。
というか、ストレートに願望を吐露できる瞬間の方がずっと限られている。

一言で言うなら、私は淫乱だ。
そのことに関して誇りを持っているといってもいい。
よく、自暴自棄からセックス三昧の援助交際に走るという人がいるが、私の場合はそうではない。
重度のセックス依存症でありながら、自分自身を愛している。
自暴自棄になって体を売ったなどということはない。
お金がほしいから援助交際を始めたのではなく、純粋にエッチがしたいから援助交際を始めた。

私にとって、不特定多数の男性に体を預けることで受け取る金銭は、おまけみたいなものである。
ゲイとエッチがしたいのだからお金はいらないというのが筋だが、実際はそうともいっていられない。
生きていくにはお金が必要だ。普段はOLとして働いているものの、やはりお金はいくらでも欲しい。
特に、他人様に裸体をさらすようなことをやっている以上、ボディーケアは念入りに行いたいところだ。

子供は欲しくない。
そもそも、特定の男性だけに自分の人生を縛られる生き方なんてまっぴらごめんだ。
私のこう言う考え方は、男性的だとか、ふしだらだとか言われるものだろう。
けれど、私と同じような考え方をしている人は世の中にいくらでもいるはずだ。
ただ、自分が持つ価値観をそのまま打ち明けたら非難されるから、ストレートに口にできないだけである。
先ほどからやたらと「ストレート」という言葉を多用しているが、それは結局のところ、ストレートに生きることがどれだけ難しいかという現実の裏返しだろう。

自分の欲望のままに行きたいと願う人は多いが、そんな生き方を達成できている人はどこにもいない。
私はエッチがしたいからこそ援助交際を始めたわけだが、まだ「究極のエッチ」というものを堪能していない。
気持ちの良い体験というものはこれまでに数限りなく手にしてきたが、それでもまだまだこの快楽に刃先があるのではないかと思ってしまう。

私の見てくれが多少は良いからだろうか。
やたらとお金をはずんでくれる男性がいる。
その人に言わせると、私の顔や体つきは、非常に男好きするものらしい。
ちょっとだけぽっちゃり体系でおっぱいが大きい。
それにつられる形でお尻が大きいから、触っていて気持ちが良いのだそうだ。
相手がだれであろうと、褒められて悪い気はしない。

リピーターの中には、服装や下着に関してリクエストをくれる人もいて、可能な限りはその要望にこたえることにしている。
さらに極端なケースだと、衣装代という名目でけっこうな大金をくれる成り金もいて、そういうときは一切の躊躇なく(表面的にはかなりの遠慮をみせておいて)ありがたく頂戴することにしている。
もらえるものは何でももらっておく主義だ。
実際にそのお金で服を買うかどうかは別として。
まったくもって、お金持ちの考えることはよく分からない。

これはどうしようもないことだが、相手によってセックスの相性や、もっと根本的なうまい下手はいくらでもある。
信条として、いかなる相手でも、よほど犯罪的な変態でない限り、お金を受け取った以上は平等に愛想よく接するように心掛けているが、セックスがうまい男性とは、ぜひまたやりたいという気分になる。

以前の私は、そういう「うまい人」にめぐり合った時、特に自分から特別なアプローチをすることなく、また会えたらいいなというくらいの気持ちでいた。
ところが今は違う。
これぞと思った相手に対しては、自分から積極的にアプローチを掛けた方が得だということに気がついたのだ。
まるで、援助交際を楽しみながらセフレを探すような感覚。

お金なんかいらないから、また会ってくれる?
そういうふうにお願いすれば、首を横に振られることはない。
少なくとも今までは。
自由に会える時間を出来る限り確保したいので、そういうビップ待遇のお客さんは少数先鋭部隊を組んで極秘に管理している。
セックスの世界は弱肉強食だから、一度やって「上手だな」と思った相手でも、また別の機会にもっと上手な相手にめぐり合えば、上書きする形式で、ビップの男ランキングを入れ替える。こうすれば、常に気持ちの良いセックスが楽しめる。

現在のトッププレーヤーは、私と同い年くらいの若者。
色々な話をした中で、普段は勤勉なエリートサラリーマンであることが分かっている。
具体的にどれほどいい男かというと、絶対結婚はしない主義を貫く私が、一瞬だけウエディングドレス姿の自分を想像してしまったほどの相手だ。相当のつわもの。
でも、そう簡単には最後の関門を突破させたくない。

初めて彼と会った時、こんなことがあった。
基本的に、私のポリシーとして、いわゆる「潮吹き」は絶対にNGだ。
私自身が大嫌いだから。
男性向けのアダルトビデオには、「潮吹き」の演出が一大ジャンルを形成しているきらいすらあるが、あれは要するにおしっこである。
性行為のさなかに自分がおもらししているところを見られて、良い気分になれる女性がいるわけない。

あなたにもし性交渉のパートナーがいるなら、セックスの前の彼女の挙動をくれぐれもさりげなくチェックしてみることだ。
よほどのことがない限り、シャワーを浴びるついでにトイレも済ませている。
絶対に潮など吹きたくないからだ。
パートナーに潮吹きを強要して完璧に嫌われた男性もいると聞く。

ところがである、現在の私ランキングトップに君臨する男性は、見事に私に絶頂を経験させ、潮を吹かせた。
水分を取っていなかったからと油断した私にも非があるが、過剰な演出やサービスなどではなく、純粋に気持ちがよかったのだ。
ただ、行為の後は死ぬほど恥ずかしかった。

相手の男性も相当驚いたようで、私がサービスしたものと思い込んで、なぜか真っ青な顔をして謝っていた。
申し訳ない気分になったので、正直に「気持ちよかったから吹いてしまった」と打ち明けた。
初めての経験だったし、よほどのことがない限り二度と経験できない幸せだと思う。

それ以来彼は、私にとって大切なセフレだ。
彼とのセックスを抜きにして、私の人生は語れない。
彼が私以外の女とセックスしているところを想像すると真剣に嫉妬させられる。
割り切った関係を求める私にとって、このような心情の変化はもはや異常と表現しても差し支えない。
彼はもともと、圧倒的なテクニックと優しさを併せ持ったセックスをする。
のみならず、セックスのたびに技術を向上させ、自分の欠点を克服していく。
だから、体を重ねるたびにうまくなる。

けれども、贅沢な私にはまだほんの少しだけ物足りない。
究極のセックスをいまだ体験していないような気がするのだ。
もし、彼が私に究極のセックスを体験させてくれたら、本気で結婚を考えてもいいかもしれない。どうせ、死ぬまで援助交際を続けるのは不可能なのだ。
ただ、こんなにも甘いセリフは、間違っても彼に聞かせられない。
今のところは、まだ。